最近の五輪は開催危機と背中合わせ、ジカ熱騒動でも開催したリオ五輪

思い返すと、最近の五輪は常に開催危機と背中合わせでした。2008年の北京五輪は中国政府の人権問題(チベット抑圧等)、2012年のロンドン五輪は欧州債務危機の直撃、2016年のリオ五輪は深刻なジカ熱問題で、各大会直前まで開催延期や中止が議論されています。

また、冬季五輪でも2014年のソチ五輪はロシアのクリミア併合問題、2018年のピョンチャン五輪では朝鮮半島情勢緊迫化などで、五輪参加を見合わせるとする国が出たことも記憶に新しいところです(注:結果的にほとんどの国が参加)。

もちろん、今回のCOVID-19問題と単純な比較はできませんが、あの2016年のジカ熱騒動でも開催したのですから、今から開催中止と決めつけるのは時期尚早ではないかと筆者は考えます。

このままだと“東京国体”に近い大会になる懸念

しかしながら、足元のCOVID-19の影響拡大を勘案すると、予定通りの開催に対して楽観的になれないことは確かです。

これから開催中止や延期を強く唱える人も大勢現れるでしょう。もし、このままCOVID-19の不安が払拭されないまま開催すると、参加ボイコットに踏み切る国も出てくるでしょうし、欧米を中心に自ら参加を辞退する有力アスリートが続出しても何ら不思議ではありません。

最悪の場合、東京五輪を開催しても参加国が少なく、日本人アスリートが大活躍する“東京国体”に近い大会となるかもしれないのです。“東京国体”にしないためにも、日本政府は正確で迅速な情報公開を行い、IOCと一体となったCOVID-19不安の撲滅に尽力するべきでしょう。残された時間は決して多くありません。

葛西 裕一