30代男性の妻の有業率、夫の年収により変化

内閣府男女共同参画局の「結婚と家族をめぐる基礎データ 」より、夫の所得階級別の妻の有業率を確認しましょう。

出典:内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐる基礎データ 」

上記を見ると、夫全年代(うち子供がいる世帯)では、夫の年収が「300~399万円」で最も妻の有業率が高く73.5%。それ以上の夫の年収では妻の有業率が下がり、1000万円を超えると50%後半です。

一方で、夫が30~39歳(うち子供がいる世帯)をみると、妻の有業率は「400~499万円」で67.2%、「600~699万円」で52.2%、「800~899万円」で46.3%、「1000~1499万円」で41.8%。全年代と比べると、夫の年収が上がるにつれて大きく下がっています。

共働きが主流といわれる現代ですが、育児をしながらの仕事は特に女性の負担が大きいのが現状です。ワンオペ育児が多く、周囲に頼れずほぼすべての家事・育児を担う女性も多いでしょう。特に30代は乳幼児や小学生を育てているご家庭が多く、育児にかける時間の多さから有業率が下がると考えられます。

同調査によれば、共働き率は上がっているものの、「雇用者の共働き世帯(妻がフルタイム週35時間以上)」は1985(昭和60)年から2020年まで基本的に400万台後半の世帯数で推移しており増えていません。共働き世帯で増えているのは、パートで働く女性なのですね。

育児と両立するには仕事を辞めたり、非正規雇用に就いたりせざるを得ないとなれば、経済的な不安から男性の年収を高く求める女性がいるのもわかるでしょう。

未婚率の増加や少子化が叫ばれて久しいですが、結婚は経済的な問題が影響する面も多いと考えられます。男女ともに雇用や賃金の改善、また育児をしながら働きやすい環境が少しずつでも整うことで、結婚や出産を決断する若い世代も増えるのではないでしょうか。

参考資料

宮野 茉莉子