RIZAPグループ(札幌アンビシャス、2928、以下「同社」)が2024年4月23日に2024年3月期通期連結業績予想を修正しました。営業利益が大幅に改善し、黒字化の可能性が出てきました。発表された内容をもとに事業が好転している理由を探っていきましょう。

1. 【RIZAPグループの業績動向】5年ぶりの増収予想、営業利益が黒字化する可能性も

今回、修正されたのは2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の通期連結業績予想になります。変化の大きい項目をピックアップすると、売上収益が1720億円から1660億円に、営業利益が△18億円から△7億5000万円~2億円に修正されています。

売上収益については前回発表時より減収となっていますが、これは子会社のREXT株式会社で不採算店舗を整理したことが要因です。注目はここ数年で大きな先行投資をしていたchocoZAP事業が収益化してきたことで、今期は連結業績で5年ぶりの増収(前期実績は1549億円)を見込んでいます。

その成果があらわれているのが、営業利益です。18億円の赤字予想でしたが、2億円の黒字となる可能性が出てきています。同社によると「chocoZAP事業が全国普及による出店投資効率向上や集客コストの改善により本格収益化」してきているとのことです。

2. 【RIZAPグループの業績動向】chocoZAPが2年足らずで黒字化を達成

chocoZAP事業について詳しくみていきましょう。同事業がスタートしたのは2022年7月でまだ2年も経っていませんが、店舗数は1383店舗・会員数は112万4000人を突破し、国内フィットネスジム会員数No.1に躍り出ています。

魅力は月額3278円というリーズナブルな価格で、トレーニングだけでなく多彩なサービスを受けられることです。2024年3月には、カラオケ/洗濯・乾燥機(ランドリー)/ピラティス/セルフフォト/キッズパーク/トレサポ/chocoZAPメディカルといった新サービスを追加し、さらに話題を呼んでいます。

2024年3月に開催された発表会でchocoZAP事業の状況と新サービスについて紹介する瀬戸健社長

スピーチをする男性の写真

出所:RIZAPグループ広報部提供

急速にサービスポートフォリオを拡充している分、先行投資も大きく、2023年3月期の第3四半期~2024年3月期の第2四半期にかけて営業利益は大幅なマイナスでした。ところが、これが2024年3月期の第3四半期に11億7700万円の黒字に転じました。その直前の第2四半期は30億8300万円の赤字なので、まさに急転換といえます。

3. 【RIZAPグループの業績動向】chocoZAPが収益化できてきた理由

事業が黒字化した理由として挙げられるのが、先述した「出店投資効率向上や集客コストの改善」です。具体的には、1000店舗を超える規模になったことでスケールメリットによる恩恵を大きく受けられるようになったこと、ユーザーの継続率を高い水準で維持できていることなどが寄与しているようです。

同社広報によると「店舗構築を内製化する文化やフレンドリー会員制度(店舗運営を手伝うことで特典を受けることができる制度)もコスト抑制に一役買っている」とのことでした。こうした積み重ねもあり、第4四半期はさらに黒字幅が拡大し、当初予想の29億6900万円から40億~49億円(第3四半期の3倍以上)の着地となる見込みです。

黒字化が一時的なものではなく、継続的なものであることが示されたことで、同事業は収益フェーズに移行したとみることができるでしょう。2月に発表された第3四半期決算資料や4月の新サービス発表会では将来的に1万店舗以上を目指す考えが明かされており、まだ大きな伸びしろが残されていそうです。

参考資料

大蔵 大輔