2025年4月から、60歳から65歳への定年延長が企業義務となります。

さて、サラリーマンであれば、定年退職金が老後資金の核となる方も多いでしょう。

ちなみに、厚生労働省の「平成30年 就労条件総合調査」によると、退職給付(一時金・年金)の制度がある企業は80.5%。裏を返すと5社に1社は退職金がないことになります。

60代といえば、現役を引退しセカンドライフに備える転換期となりますが、この時点で老後資産の大半を占める退職金がなかった場合、どうすればいいのでしょう。

現状の60代の貯蓄事情を参考に、40代から持っておきたい「資産づくり」の視点についてお話していきます。

60代のキビしい財布事情「無貯蓄世帯が18%」

60代世帯がどのくらいの資産を保有しているのか、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」から見ていきます。

60歳代・二人以上世帯の金融資産保有額分布

(金融資産を持たない世帯を含む)

平均:1745万円
中央値:875万円

※平均は超富裕層などの大きな資産額に引き上げられるため、より実態に近い中央値を参考にするとよいでしょう。

金融資産を3000万円以上保有する割合が19.6%いる一方で、貯蓄0円となる金融資産非保有割合が18.3%と、資産格差が生じています。

あわせて借入状況もみてみましょう。

60歳代借入金残高分布

(借入金がある世帯)

  • 50万円未満:9.7%
  • 50~100万円未満:4.8%
  • 100~200万円未満:12.1%
  • 200~300万円未満:4.8%
  • 300~500万円未満:14.5%
  • 500~700万円未満:10.5%
  • 700~1000万円未満:10.5%
  • 1000~1500万円未満:10.5%
  • 1500~2000万円未満:5.6%
  • 2000万円以上:8.1%
  • 無回答:8.9%

平均:691万円
中央値:498万円

貯蓄から負債を差し引き、純貯蓄額を算出すると、

平均:1054万円
中央値:377万円

中央値でみた60代の純貯蓄額は400万円弱ということになります。